災害看護関連用語 深部静脈血栓症
用語 深部静脈血栓症
英訳 Deep Vein Thrombosis
定義 四肢または骨盤の筋膜より深部を走行する深部静脈で血液が凝固する病態
解説 深部静脈血栓が遊離して静脈血流により肺動脈を閉塞することにより肺塞栓を生ずる。災害時に発生する急性肺塞栓症の90%以上が深部静脈血栓症による原因と言われている。深部静脈血栓症の原因は、血液凝固の亢進・静脈血流の鬱滞・静脈壁の障害の3つの因子である。そして、因子が種々の程度に重なり合って生ずる。主な症状としては、下肢の腫脹、圧痛、発赤などが見られる。また、肺塞栓症では、呼吸困難、胸痛、失神などが認められる。
2004年の新潟県中越地震では、車中泊避難生活者に発生した肺塞栓症が深部静脈血栓症による原因と考えられ、車中泊避難や避難所生活による深部静脈血栓症予防が課題となった。予防としては、水分をしっかり摂取し脱水を予防することや衛生的・安全的なトイレの確保があげられる。また、下肢を積極的に動かすことができるスペースの確保や下肢の静脈還流を増加させることができる運動の指導がある。特に高齢者、妊産婦、経口避妊薬服用者、がん化学療法中の患者、肥満者などは、危険因子となるので注意が必要である。
事例
参考文献(APA方式) ・伊藤正明他(2018):肺血栓塞栓症及び深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版),合同研究班参加学会.
・大西秀典他(2017):熊本地震における一般避難所と福祉避難所の
 深部静脈血栓症検出率の比較,保健医療科学.
・小井土雄一他、(2017):他職種連携で支える災害医療,医学書院.
・酒井明子、菊池志津子編(2018):災害看護 看護の専門知識を統合して実践につなげる 改訂第3版,南江堂.
最終編集日 2019/06/07 10:36:50