用語 | 在宅避難者 |
英訳 | Home Evacuees |
定義 | 避難所で場所の確保ができない場合や、寝たきり・医療機器を必要とするなど、被災後も自宅(災害前の生活の場)で生活している人 |
解説 | 東日本大震災(2011)で多数の被災者が発生した際に生まれた被災形態と言われているが、現行の災害対策基本法や災害救助法では想定されておらず、被災者の把握の遅れや、災害救助法による経済的補助が受けられないなどの問題が発生した。熊本地震(2016)では、前震後の在宅避難者が本震で犠牲になった例もある。地域によっては、在宅避難をしている高齢者のうち、前期高齢者の約5割、後期高齢者の約3割が独居もしくは老々世帯であったとの調査(武藤,2013)もある。今後、高齢化による高齢者の増加や医療制度改革の地域志向が進む中、災害前の生活の場を離れられない被災者や、不自由な避難所生活よりも自宅での生活を選ぶ被災者が増えることが考えられ、在宅避難者への支援の在り方を検討することが急務である。しかし、大きな集団である避難所への支援が優先されやすいこと、在宅の状況把握に時間がかかること、在宅療養者等の情報を把握している行政や日ごろの支援スタッフも被災していることから、在宅避難者への支援は遅れる現状がある。在宅避難者への支援は、在宅避難者の情報を収集することが重要であり、介護保険や医療保険の利用者であれば市町村の介護保険課、保健センター等との情報共有により把握することが可能であるが、それらに該当しない在宅避難者の把握が困難となる。平常時からの地域コミュニティの状態よっては在宅困難者の把握がますます困難となり、災害関連死や孤独死につながる危険もある。 ※介護保険の範疇では、特別養護老人ホームや有料老人ホームなども在宅の位置づけであるため、利用者は在宅避難者となる。 |
事例 | |
参考文献(APA方式) | ・武藤真祐(2013):宮城県石巻市における在宅避難世帯の訪問調査と支援活動,学術の動向. ・酒井明子、菊池志津子編(2018):災害看護 看護の専門知識を統合して実践につなげる 改訂第3版,南江堂. ・酒井明子、長田恵子、三澤寿美編(2019):ナーシング・グラフィカ 看護の統合と実践B 災害看護,メディカ出版. |
最終編集日 | 2019/06/10 14:11:25 |